超音波とは


 一般的に人の可聴域を超えた「20kHz以上の聞くことを目的としない音」とされています。

 人間の耳では聞き取れないとされる高周波の音を使用していますが、実際の超音波洗浄では、物体に超音波が当たり、音が様々に変化します。

そのため、個人差はありますが耳で聞くことのできる音が発生します。

 超音波は、気体<液体<個体と物質の変化により伝わり方が異なります。

 超音波洗浄機に用いる超音波の音は、気体中では著しく減衰します。

 一方、液体や固体中では非常に伝わりやすい性質のため、速度も速く強い音が伝わります。

なぜ汚れが落ちるのか


- 超音波洗浄の原理 -

 超音波洗浄の原理としては、全てが解明さているわけではありません。
 現在、一般的に言われている洗浄の現象の一つを紹介いたします。

 

 液体中に超音波の振動が伝わると、振動させている超音波の周波数の波が発生します。
 液体中に発生した超音波の音の波は、一瞬の出来事ですが圧縮と膨張を繰り返しながら進みます。
 この圧縮と膨張の現象が、水中に含まれる気体成分(酸素や窒素、二酸化炭素など)に影響を与えます。

圧縮環境下では気体成分が凝縮され、膨張環境下では凝縮されていた気体成分が一瞬で外側へ向かって放出されます。
実際には、肉眼で観測しにくいほどの微細な気泡の発生と消滅が起こります。
上記現象が洗浄物の汚れ付近で断続的に発生すると、一瞬の現象ではあるが次の様々なことが起こります。

①汚れ付近の液体が発生した気泡により押される。
②発生した気体が消滅する際に、気泡が存在していた空間へ入り込もうとする液体の流れが発生する。

これらの現象により、洗浄物の汚れを剥離、分散させます。

超音波洗浄の特長


  • 人手によって除去できない微細な汚れや、複雑な構造の内部の汚れを取り除きます。
  • 液体へ浸漬することにより洗浄物の細部まで洗浄が可能なため、使いやすく、幅広い分野で使用されています。
  • 汚れの種類に応じて適切な洗浄液を選定し、超音波の物理的洗浄作用と、洗浄液の化学的溶解作用を組み合わせ、洗浄効果を最大限引き上げて洗浄することができます。

超音波洗浄の特性


図1は振動板に対し垂直に立てたアルミ箔による洗浄パターンを示しています。

白い部分は、超音波が最も強く当たり、アルミ箔を侵食している部分です。
但し、図2の場合は黒い部分でも超音波によるダメージが伝わっており、白く侵食されている部分や凹みのある部分も多く見られます。図1の場合は、アルミ箔の黒い部分へ超音波の影響がほとんど出ませんので、入れた際のアルミ箔の状態のままです。

1のような縞模様の洗浄ムラを解消するため、弊社独自の独立ポジション振動方式により、図2のように定在波による洗浄ムラを少なくしています。

アルミ箔洗浄パターン例(図1)

アルミ箔洗浄パターン例(図2)

洗浄力比較試験


超音波洗浄機にアルミ箔を入れ、その剥離状態により洗浄力を確認します。
このときの洗浄時間30秒、洗浄液は水道水を使用しました。

槽内に水平にアルミ箔を入れる

SND/USシリーズ

全体にムラなくハクリが見られる

従来品

中心部のみ強くハクリが見られる

槽内に垂直にアルミ箔を入れる

SND/USシリーズ

全体にムラなくハクリが見られる

従来品

槽の底面側のみ強くハクリが見られる